変数が x と y の2つである関数 z を考えます。
参考資料 (1)式
x が x+h に、y が y+k に変化したときの変化量を Δz とすると(2)式が書けます。
参考資料 (2)式
(2)式を細かく分けていくと(3)式が得られます。
参考資料 (3)式
ここでは前回の(12)式の考え方を使っています。
ここで Δx を 0、Δy を 0 に近づけていくと δ および ε が 0 に近づくため、(3)式は(4)式で表わされます。
参考資料 (4)式
また Δx を 0、Δy を 0 に近づけたときの微小変化を dx、dy と表わし、そのときの変化量 Δz を dz と表わすと、(5)式が得られます。
参考資料 (5)式
ここで Δy = (y+k) – y = k であるため、Δy を 0 に近づけたとき y+k は y に近づくとしています。
(5)式が全微分の形を表わしています。
すなわち(1)式の全微分は、(1)式を x で偏微分したものに dx を掛けたものと、(1)式を y で偏微分したものに dy を掛けたものの和で表わされます。
たとえば(6)式で表わされる関数 z を考えます。
参考資料 (6)式
この関数の全微分は(7)式のように与えられます。
参考資料 (7)式
ここまでで全微分の計算方法はわかりました。
では全微分は何を表わしているのでしょうか。
微分や偏微分は平面上に描かれる曲線の接線の傾きを表わしていました。
全微分もまた考え方は同じなので、接する図形の傾きに相当するものを表わしていると考えられます。
関数 z が2つの変数 x と y で表わされる場合、その関数は xyz 空間上に立体的に描かれます。
そして全微分はこの立体的に描かれた関数上のある点に接する平面の傾きを表わします。
基本的な考え方は通常の微分と同じです。
x 軸方向の幅を極限まで小さくしたときに関数上のある点に接する線の傾きが与えられますが、それを x 軸方向と y 軸方向の両方に適用して極限まで幅を小さくしたとき、関数上のある点に接する平面の傾きが与えられます。
偏微分と全微分の違いとして以上のようなイメージを持っておくと良いです。