物理化学で使う数学で偏微分とともによく出てくるのが全微分です。
偏微分と同様に、あまり深く考えなくても全微分の計算を利用することはできます。
あるいは物理化学を習った方は知らないうちに全微分を使っていたかもしれません。
たとえば熱力学第一法則で、内部エネルギー変化 dU は温度 T、エントロピー変化 dS、圧力 P、体積変化 dV を用いて(1)式で表わされます。
参考資料 (1)式
またエンタルピー H、ヘルムホルツエネルギー A、ギブスエネルギー G は(2)式で定義されています。
参考資料 (2)式
ここで(1)式と(2)式を組み合わせると各熱力学量の微小変化量を与える式を導くことができます。
参考資料 (3)式
そして(1)、(3)式と全微分を組み合わせると各熱力学量を偏微分で表わすことができます。
参考資料 (4)式
このとき全微分を使っていますがどのような計算をしているのか、また全微分と偏微分の違いは何かを次回から見ていくことにしましょう。