物理化学の数学|偏微分-1

参考資料

 

物理化学では微分と積分を頻繁に使います。

数学で出てくる微分は計算できるという人も多いでしょう。

たとえば次のような計算です。

参考資料 (1)式

でもそれが物理化学になるとできなくなってしまう。

それはきっと式の中に記号がたくさん含まれていて、見るだけで嫌になるからかもしれません。

 

変数が2つ以上あるとき、微分は偏微分という名前に変わって登場します。

たとえば(2)式のように、z が x と y の2つの変数で表わされるとします。

参考資料 (2)式

この式を微分してくださいと言われても、変数に x と y があってどちらも使って微分するのか、それとも片方だけで微分するのか、どちらにしてもどうやって計算するのかよくわかりません。

実は前者を全微分、後者を偏微分と言って、それぞれ計算する方法があります。

ここでは偏微分を考えていきます。

 

いくつか変数が含まれている式に対して、変数を1つ選んで微分することを偏微分と言います。

そのとき他の変数はどうすればいいのか。

あまり深く考えずに、他の変数は定数とみなして計算してかまいません。

たとえば(2)式を x で偏微分するときは y を定数として、つまり y を数字のように扱って微分します。

その計算は(3)式のように書きます。

参考資料 (3)式

このとき偏微分であることを表わすために、通常の微分と違う表記がいくつか出てきます。

まず d の代わりに ∂ という記号を使います。

また一定の変数をはっきりと示すために右下にその変数(ここでは y)を書きます。

右下の変数は省略されることもありますが、物理化学においてどの変数が一定であるかは大切なので、面倒でも書いておくことをお勧めします。

以上さえ気をつければ、あとの計算は普通の微分と同じようにできます。

 

物理化学で出てくる複雑そうな式も、変数を見極めてしまえば偏微分の計算はそんなに難しくありません(内容を理解することはまた別の問題ですが…)。

理想気体の状態方程式を例に考えてみましょう。

参考資料 (4)式

ここで R は気体定数で、8.314 J K-1 mol-1 という数値です。

また物質の出入りがあると物質量 n [mol] は変数となりますが、ここでは物質の出入りはない閉鎖系として n を変化しない定数と仮定します。

残る変数は圧力 P、体積 V、温度 T の3種類です。

これらの変数がどのように変化するか知るときに偏微分が必要です。

 

たとえば(4)式で、体積が変化することによって圧力がどのように変化するか知りたいとします。

この場合は温度を一定として、圧力を体積で偏微分します。

参考資料 (5)式

また温度が変化することによって圧力がどのように変化するか知りたいときは体積を一定として圧力を温度で偏微分します。

参考資料 (6)式

 

このように一定の変数に注意すれば偏微分の計算はそれほど難しくありません。

次回は偏微分した式の意味について考えてみましょう。

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