関数の微分から傾きが計算できるようになると、いろいろなことがわかってきます。
その1つが接線の方程式です。前回示した図でいうと、接線は緑や青の線のことです。
この線は手動で引いているのではなく、求めた方程式にしたがってグラフを描いています。
接線の方程式を求めるのはそれほど難しくありません。
たとえば図1の緑の線の場合、前回計算したように、座標 \(\small (1,1)\) での接線の傾きは \(\small 2\) です。このことから\(\small\,(1)\,\)式を書くことができます。
\(\small\color{blue}{y=2x+c\cdots(1)}\)
そして、この接線は座標 \(\small (1,1)\) を通るので \(\small x=1\)、\(\small y=1\) を代入すると、\(\small c=-1\) となることがわかります。したがって、接線の方程式は\(\small\,(2)\,\)式で表されます。
\(\small\color{blue}{y=2x-1\cdots(2)}\)
そして、\(\small x\) が \(\small 0\) のとき、\(\small 1\) のとき、、と計算してグラフを描けば、接線をきれいに引くことができます。
ところで手元にある教科書を見ると、接線の方程式という公式が載っています。関数 \(\small y=f(x)\) のグラフ上の点 \(\small (a,f(a))\) における接線の方程式が\(\small\,(3)\,\)式で与えられています。
\(\small\color{blue}{y-f(a)=f'(a)(x-a)\cdots(3)}\)
このような公式は覚えなくてよいと考えています。この公式は上で計算したような方法で出てくる式なので、わざわざ覚える必要はありません。
たしかに、より早く解答を導けるかもしれません。しかし覚えることが増えますし、覚えていた式が少しでも間違っていたら(たとえばプラスとマイナスを間違えていたら)どうしようもありません。
考え方を身につけるためにも、公式としてどうしても覚えなければいけないものと覚える必要がないものを選択する必要があります。できるだけ覚えるものは少なくしたいですしね。