グラフの傾きとは何でしょうか?
まずは前回と同じ、次の直線について考えます。
\(\small\color{blue}{y=2x+1\cdots(1)}\)
傾きは、\(\small x\) 軸方向に変化させたときに \(\small y\) 軸方向にどれだけ変化するかを表します。
直線の場合はどこから始めても同じですが、たとえば \(\small (x,y)=(1,3)\) から \(\small x\) 軸方向に \(\small 1\) 変化させたとします。そうすると図1から、\(\small y\) 軸方向には \(\small 2\) 変化することがわかります。
![](https://i0.wp.com/roadtoscience.net/wp-content/uploads/2021/06/42_%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E8%B3%87%E6%96%99_%E6%95%B0%E5%AD%A6_%E5%BE%AE%E5%88%86_2_1-1.jpg?resize=286%2C304&ssl=1)
したがって、傾きは (\(\small y\) 軸方向の増分) / (\(\small x\) 軸方向の増分) \(\small =2/1=2\) です。
では次の二次関数について考えましょう。
\(\small\color{blue}{y=x^2\cdots(2)}\)
座標 \(\small (x,y)=(1,1)\) から始めるとして、たとえば \(\small x=3\) まで変化させると図2になります。
![](https://i0.wp.com/roadtoscience.net/wp-content/uploads/2021/06/43_%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E8%B3%87%E6%96%99_%E6%95%B0%E5%AD%A6_%E5%BE%AE%E5%88%86_2_2-1.jpg?resize=344%2C306&ssl=1)
このときの傾きは \(\small 8/2=4\) です。
しかし、このグラフの傾きを \(\small 4\) とするには少し不自然な感じがします。そこで変化させる位置をもう少し小さくして、\(\small x=2\) まで変化させると図3になります。
![](https://i0.wp.com/roadtoscience.net/wp-content/uploads/2021/06/44_%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E8%B3%87%E6%96%99_%E6%95%B0%E5%AD%A6_%E5%BE%AE%E5%88%86_2_3.jpg?resize=301%2C301&ssl=1)
このときの傾きは \(\small 3/1=3\) です。先ほどよりは傾きっぽくなったような気がしますが、まだ不十分なようです。ただし、\(\small x\) 軸の変化量を小さくすると傾きっぽくなってくることがわかりました。
そこでこの変化量を限界まで小さくしてみましょう。ここでいう限界とは、変化量が \(\small 0\) だと意味がないので、\(\small 0\) ではないけれども \(\small 0\) にできるかぎり近い、わずかな量だけ \(\small x\) 軸方向に動かすという意味です。
この場合を想像すると、次のような図が描けると考えられます。
![](https://i0.wp.com/roadtoscience.net/wp-content/uploads/2021/06/45_%E8%A7%A3%E8%AA%AC%E8%B3%87%E6%96%99_%E6%95%B0%E5%AD%A6_%E5%BE%AE%E5%88%86_2_4.jpg?resize=272%2C298&ssl=1)
この直線の傾きが \(\small (x,y)=(1,1)\) の位置での傾きと考えることになります。そして微分はこの限界での傾きを求める方法なのです。
まずはグラフのイメージをつかみましょう。そして次回は数値を交えて、もう少し細かく見ていきます。