原子 X と原子 Z が結合して分子を作っているとき、その結合はお互いに電子を1つずつ出して作られていることは昨日説明したとおりです。
結合を作っている2つの電子はお互いに出し合っているので平等に扱いましょうと考えるのは当然のことです。
しかしそれは建前で、実際にはプラスの電気を持っているそれぞれの原子核がマイナスの電気を持っている電子を自分のところに引っ張ろうとしています。
参考資料 図1
この引っ張る力は電気陰性度という量で数値として表わされ、この数値が大きいほど電子を引っ張る力が強いと考えます。
18 族の希ガスを除いて、周期表の右上に向かうほど電気陰性度は大きくなる傾向があります。
結合を作っている2つの電子は引っ張る力が強いほうに引き寄せられ、2つの原子間の中心から少しずれたところに位置するようになります。
参考資料 図2
引っ張る力が強いほうの原子は電子をより自分のところに近づけたことから少しマイナスの電気を帯びます。
一方、引っ張る力が弱くて電子を持っていかれたほうの原子は少しプラスの電気を帯びます。
このようにして電気の偏りが生じる分子を極性分子というのに対し、電気の偏りが生じていない分子を無極性分子といいます。
原子によって電気陰性度はちがうので、異なる原子からできている分子はすべて極性分子と考えてよさそうですが、もし分子が対称的な形をしていると電気の偏りを打ち消すことになって、その場合は無極性分子と考えます。
そのような視点で見ていくと、選択肢の中で無極性分子の候補として残るのは二酸化炭素 CO2 と水 H2O です。
答えは1つなので、どちらか一方は無極性分子ではなく極性分子となるわけですが、もう少し分子の構造をよく見てみると、二酸化炭素は直線型、水は折れ線型になることが知られています。
折れ線型は対称的な構造ですが、電気の偏りがベクトルの足し算のようになって、打ち消されずに残ってしまいます。
参考資料 図3
したがって、水は極性分子と考え、残った二酸化炭素が無極性分子です。
水は極性分子の代表的なものなので、覚えておくとよいです。
ちなみに極性分子は極性分子と、無極性分子は無極性分子と混ざりやすい性質があります。
代表的な有機化合物であるヘキサンやオクタンなどのアルカンは無極性分子の代表例であり、極性分子である水とはほとんど混ざりません。
これも知っておくと便利です。