平成27年度 化学

平成27年度センター試験【化学】第3問 問6|色の変化

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色の変化を問う問題です。

化学の中でも色の変化は重要な性質の1つなので、しっかりと理解しておきましょう。

 

指示薬として有名なフェノールフタレインは、中性で無色、アルカリ性で赤紫色に変化します。

ということは、フェノールフタレインは銅線の表面付近が赤く変化したことと関係しているのであって、鉄くぎのまわりが青く変化したこととは関係ありません。

また、赤くなったということはアルカリ性になっているということなので、赤は水酸化物イオン OH が生じたことによるものとわかります。

 

そうすると青く変化したことは K3[Fe(CN)6] に関係していることが推測されます。

K3[Fe(CN)6] はヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム(フェリシアン化カリウム)という物質で、水溶液は黄色っぽい色です。

ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムは鉄(II)イオン Fe2+ が存在すると、次の反応によって青色の沈殿を生じます。

3Fe2+ + 2K3[Fe(CN)6] → Fe3[Fe(CN)6]2 + 6K+

この沈殿をターンブルブルーと呼びます。

 

ところでこの問題、実はこの反応がわからなくても答えを推測することができます。

水溶液に溶かした K3[Fe(CN)6] の鉄イオンが3価(Fe3+)であることがわかると、色が変化するためにはもともと含まれている Fe3+ 以外のものが必要になるはずです。

したがって、選択肢の Fe3+ はありえないだろうと考えることができます。

 

さて、シャーレ A では銅線が、シャーレ B では亜鉛板が鉄くぎに巻いてあります。

わざわざ変えてあるということは何か違うことが起きるからだろうとは想像できますが、ここで何がポイントなのかに気づくことが重要です。

種類の違う金属が使われていることから、きっとイオン化傾向が問われているのだろうと予想するわけです。

鉄、銅、亜鉛のイオン化傾向を比べると、大きい順に、亜鉛>鉄>銅となっています。

 

したがって、鉄と銅の組み合わせだと鉄がイオンになりやすく、だから鉄くぎのまわりに鉄(II)イオンが溶けだし、それが青色の沈殿をもたらしていました。

一方、鉄と亜鉛の組み合わせだと亜鉛がイオンになりやすいため、鉄(II)イオンが生じず、したがって青色の沈殿ができません。

亜鉛イオンはヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムと反応しないため、色の変化はフェノールフタレインからのみ生じます。

フェノールフタレインは無色か赤紫色なので、鉄くぎと亜鉛板の組み合わせでは鉄くぎの周囲が赤紫色に変化すると予想できます。

フェノールフタレインを赤紫色に変化させる OH がどのように生じるかはわからなかったのですが、調べたところによると、水や水に溶けている酸素に電子を与えることによって OH が発生しているとのことです。

イオン化傾向のところで少し触れましたが、出題者が何を意図して問題を作っているのか、キーワードだけでも思い浮かぶと問題を解く際のヒントになります。