溶解度の問題です。
例として、塩化銀 AgCl を水に溶かしたときの平衡を考えます。
参考資料 (1)式
平衡定数 K は次のように表わされます。
参考資料 (2)式
ここで [Ag+]、[Cl–]、[AgCl] は平衡に達したときの Ag+、Cl–、AgCl の濃度を表わします。
塩化銀のようにほとんど水に溶けない物質の場合 [AgCl] は変わらないので、新しい平衡定数 Ks を導入します。
参考資料 (3)式
(3)式で与えられる Ks を溶解度積と言います。
塩化銀の溶解度を x [mol/L] とすると、(3)式から(4)式が得られます。
参考資料 (4)式
ここで問題に与えられている溶解度積の数値を代入して溶解度を求めます。
参考資料 (5)式
したがって塩化銀を水に溶かすとき、Ag+、Cl– はどちらも 1.3 × 10-5 mol/L までは溶けて、それより濃度が高くなると溶けきれない、つまり沈殿が生じると考えられます。
あとは溶解度と溶液の濃度を比較すればよいのですが、1つ注意することは、表1で与えられている濃度をそのまま使ってはいけないということです。
ここでは硝酸銀水溶液 100 mL と塩化ナトリウム水溶液 100 mL を混合しているので、溶液の濃度は 1/2 に希釈されています。
したがって、表1で与えられている濃度の 1/2 の濃度と、上で計算した溶解度を比較するようにしましょう。