密度

密度-3|実は水は特殊?

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今回はもっとも身近な物質である水と氷の密度について紹介します。

身のまわりに当たり前のようにある水。実は一般的な物質と比べると、むしろ変わった特徴を持っていることを知っていますか?その特徴の1つが密度です。

実験してみましょう。コップの中に水を入れて、さらに氷を入れるとどうなるでしょうか?

そうです、氷は浮かびます。当たり前だと思うかもしれませんが、実は不思議なことです。なぜなら普通は液体より固体のほうが密度は大きいため、固体は液体中に沈むのが当たり前だからです。水と氷では氷が浮かぶので、固体である氷よりも液体である水のほうが密度は大きいことになります。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか。普通は液体から固体になるときにギュッと隙間が詰まって密度は大きくなります。しかし水は、氷になるとむしろ隙間が多くスカスカになって密度が小さくなります。この原因は水に特徴的な水素結合にありますが、それについてはまたの機会に説明しましょう。

実際、氷の密度は \(\small 0\)\(℃\) で \(\small 0.9167\,\text{g}\,\text{cm}^{-3}\)、水の密度は \(\small 20\)\(℃\) で \(\small 0.9982\,\text{g}\,\text{cm}^{-3}\) です。では、たとえば \(\small 500\,\text{mL}\)(\(\small=500\,\text{cm}^{3}\))のペットボトルに \(\small 20\)\(℃\) の水を入れて凍らせた場合、体積はどのくらい変化するでしょうか。

水の重さ
\(\small\color{blue}{0.9982\,\text{g}\,\text{cm}^{-3}\times 500\,\text{cm}^{3}=499.1\,\text{g}}\)

氷になったときの体積
\(\small\color{blue}{\displaystyle\frac{499.1\,\text{g}}{0.9167\,\text{g}\,\text{cm}^{-3}}=544\,\text{cm}^{3}=544\,\text{mL}}\)

ということは体積が \(\small 40\,\text{mL}\) ほど増えるわけで、これはかなり大きいです。だから、何かの容器に水を目一杯入れて凍らせると危険なので気をつけましょう。

他の物質と比べて水の密度は特殊ですが、この特殊な密度が実はとても重要です。冬に池が凍るとき、表面は凍っても、その下は水のままです。これは氷のほうが密度が小さいから。もし氷のほうが密度が大きかったら、できた氷は池の底に沈んでいくので、魚などの生物が生きていけなくなります。

特殊というと例外的なイメージを持ちますが、むしろその特殊性がなければ困るわけです。