濃度

濃度-10|ppm parts per million

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

今回は5つ目の濃度 \(\small\text{ppm}\) を紹介します。

ppm は 1/1,000,000 を表しています

\(\small\text{ppm}\) は英語の parts per million の頭文字を取ったもので、日本語では百万分率といいます。

\(\small 1\,\text{ppm}\) は \(\small 1/10^{6}\) で、\(\small 10^{6}\) が \(\small 1,000,000\) なので百万分率というわけです。

ppm はこのように計算されます

一般に、\(\small\text{ppm}\) は重さに対して使われることが多いです。

たとえば、溶液 \(\small 1,000\,\text{g}\) 中に物質 \(\small 1\,\text{mg}\)(\(\small =0.001\,\text{g}\))が含まれている溶液の百万分率は次のように計算します。

\(\small\color{blue}{\displaystyle\frac{0.001\,\text{g}}{1,000\,\text{g}}\times 10^{6}=1\,\text{ppm}\cdots(1)}\)

これが \(\small 1\,\text{ppm}\) なので、とても少ない量であることが想像できます。

もしこれが塩化ナトリウム(式量 \(\small 58.44\))水溶液だったとして、\(\small 1\,\text{ppm}\) を質量モル濃度 \(\small m\) で表すとどのくらいになるでしょうか。

この場合、溶液 \(\small 1,000\,\text{g}\) 中に塩化ナトリウムが \(\small 1\,\text{mg}\) なので、水が \(\small 999.999\,\text{g}\)、塩化ナトリウムが \(\small 0.001\,\text{g}\) として計算します。

\(\small\color{blue}{\begin{align}\displaystyle m&=\frac{0.001\,\text{g}}{58.44\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}\times\frac{1,000\,\text{g}\,\text{kg}^{-1}}{999.999\,\text{g}}\\&=1.71\times 10^{-5}\,\text{mol}\,\text{kg}^{-1}\cdots(2)\end{align}}\)

パーセントと ppm は同じ考え方

ところでパーセント \(\small\%\) はよく知っている単位だと思います。

実は \(\small\%\) は百分率といって、\(\small\text{ppm}\) は \(\small\%\) と同じ考え方をしているのです。

たとえば、溶液 \(\small 1,000\,\text{g}\) 中に物質 \(\small 100\,\text{g}\) が含まれている溶液の濃度は何 \(\small\%\) ですか、と聞かれたら、すぐに \(\small 10\%\) と答えられるでしょう。

その計算は次のとおりで、\(\small\text{ppm}\) の計算とよく似ています。

\(\small\color{blue}{\displaystyle\frac{100\,\text{g}}{1,000\,\text{g}}\times 10^{2}=10\%\cdots(3)}\)

1/1,000,000,000 を表す単位もあります

さらに \(\small\text{ppb}\) という単位もあります。

こちらは parts per billion で十億分率です。

\(\small 1\,\text{ppb}\) は、溶液 \(\small 1,000\,\text{g}\) 中に物質 \(\small 1\,\mu\text{g}\)(\(\small =0.000001\,\text{g}\))含まれている溶液の濃度を表しています。

ppm は水質基準を表すときに使われます

\(\small\text{ppm}\) や \(\small\text{ppb}\) はとても少ない量を表す単位で、大気や水質の基準を表すときによく使われます。

水質基準だと、厚生労働省に基準値が示されています。

残念ながら \(\small\text{ppm}\) では示されていませんが、とても薄い濃度であれば \(\small 1\,\text{L}=1\,\text{kg}\) と考えてもほぼ大丈夫なので、\(\small\text{mg/L}=\text{ppm}\) と考えてもらってよいです。

したがって、ベンゼンであれば \(\small 0.01\,\text{ppm}\)、すなわち水道水 \(\small 1\,\text{kg}\) にベンゼンが \(\small 0.01\,\text{mg}\) 以上含まれていると基準値をオーバーしていることになります。