前回と同じ考え方をモルに応用してみましょう。
モルを計算するときは原子量から
モルについて考えるときは原子量が基本です。
原子量は、その原子がアボガドロ数個(\(\small 6\times10^{23}\) 個)すなわち1モル集まったときのグラム数を表すものです。
たとえば、水素 \(\small\text{H}\) 原子、炭素 \(\small\text{C}\) 原子、酸素 \(\small\text{O}\) 原子の原子量は次のように決められています。
\(\small\text{H}\) 原子の原子量 = 1
\(\small\text{C}\) 原子の原子量 = 12
\(\small\text{O}\) 原子の原子量 = 16
これは、\(\small\text{H}\) 原子を1モル集めたものが \(\small 1\,\text{g}\)、\(\small\text{C}\) 原子を1モル集めたものが \(\small 12\,\text{g}\)、\(\small\text{O}\) 原子を1モル集めたものが \(\small 16\,\text{g}\) であることを表していて、1ダースの重さと同じ考え方です。
ただ個数が、ダースのときは 12 を掛けていたのが、モルのときは \(\small 6\times10^{23}\) を掛けているだけです。
重さからモルを計算する方法
では、\(\small\text{H}\)、\(\small\text{C}\)、\(\small\text{O}\) 原子がそれぞれ \(\small 48\,\text{g}\) あるときのモル数を求めなさい、という問題があったら、どのように計算すればよいでしょうか。
それは次のように計算できます。
\(\small\color{blue}{\displaystyle\text{H}\quad\frac{48\,\text{g}}{1\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=48\,\text{mol}}\)
\(\small\color{blue}{\displaystyle\text{C}\quad\frac{48\,\text{g}}{12\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=4\,\text{mol}}\)
\(\small\color{blue}{\displaystyle\text{O}\quad\frac{48\,\text{g}}{16\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=3\,\text{mol}}\)
前回と同じ計算ですよね。
分子のモルは分子量から計算する
分子についても考え方は同じで、原子量の代わりに分子量を使います。
分子量は原子量を足し合わせて求められます。
たとえば、水 \(\small\text{H}_{2}\text{O}\) 分子と二酸化炭素 \(\small\text{C}\text{O}_{2}\) 分子の分子量は次のように計算されます。
\(\small\color{blue}{\text{H}_{2}\text{O}}\) 分子の分子量 = (\(\small\color{blue}{\text{H}}\) 原子の原子量) × 2 + (\(\small\color{blue}{\text{O}}\) 原子の原子量) = 1 × 2 + 16 = 18
\(\small\color{blue}{\text{C}\text{O}_{2}}\) 分子の分子量 = (\(\small\color{blue}{\text{C}}\) 原子の原子量) + (\(\small\color{blue}{\text{O}}\) 原子の原子量) × 2 = 12 + 16 × 2 = 44
そして、たとえば \(\small 396\,\text{g}\) の水と二酸化炭素のモル数は次のように計算できます。
\(\small\color{blue}{\text{H}_{2}\text{O}\quad\displaystyle\frac{396\,\text{g}}{18\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=22\,\text{mol}}\)
\(\small\color{blue}{\text{C}\text{O}_{2}\quad\displaystyle\frac{396\,\text{g}}{44\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=9\,\text{mol}}\)
モルがわかったところで濃度の計算へ進みましょう
以上、モルの考え方と計算の仕方について考えてきましたがどうでしたか?
大事なことは、モルを計算するときは重さを原子量や分子量で割る、ということです。
少なくともそれだけわかっていればよくて、どうしてそうなるのか考える必要があるときには今までの話を参考にしてください。
本題は濃度の話なので、次回はそちらに話を進めていきましょう。