これまで、pH が 7 より小さいものは酸性、pH が 7 より大きいものはアルカリ性であることを見てきました。
さらに、酸性、アルカリ性それぞれの中でも強いものと弱いものに分類することができます。
それはどういうことか、酸性を例にとって考えてみましょう。
酸性の中でも強いものを強酸、弱いものを弱酸と呼びます。
強酸の例として塩酸 HCl、弱酸の例として酢酸 CH3COOH があります。
どちらも水の中では H+ を出すのに何が違うのでしょうか。
実は H+ が出てくるには出てくるけれど、出てくる割合が違うのです。
塩酸と酢酸をそれぞれ水に入れると、次のように分かれます。
HCl → H++ Cl-
CH3COOH → CH3COO-+ H+
このとき、塩酸はほぼ 100% 分かれて H+ と Cl- のイオンになります。
一方、酢酸は一部(たとえば 1%)だけが分かれて H+ と CH3COO- のイオンになります。
そして残り(たとえば 99%)は CH3COOH のまま存在していることになるのです。
たとえば 100 個ずつ塩酸と酢酸を水に入れたらどうなるでしょうか。
塩酸からは 100 個の H+ が出てくるのに対し、酢酸からは 1 個しか H+ が出てきません。
もし酢酸から 100 個の H+ を出したければ、10,000 個の酢酸を入れないといけないことになります(あくまで仮の計算です)。
これが強酸と弱酸の特徴の違いです。
強アルカリと弱アルカリも同じ考え方です。
身のまわりの商品、特に人の手に直接触れるようなものは弱酸性や弱アルカリ性と書いているものが多いです。
これは H+ や OH- が出すぎていると刺激が強すぎて、人の肌にダメージを与えるからです。
逆に刺激の強さを利用して、頑固な汚れを落とすときに使うもので酸性やアルカリ性を強くしているものもありますが、そのようなものを扱うときは十分に気をつけましょう。