前回、酸性やアルカリ性は溶液中の水素イオン H+ の濃度によって分けられているという話をしました。
では、酸性やアルカリ性を表わすときに使われる pH とはどんなものなのでしょうか。
結論からいうと、pH とは水素イオン濃度の対数をとってマイナスを付けたものです。
式で表わすと次のような形です。
pH = -log10(H+ の濃度)
こうすることで酸性やアルカリ性を数値で表わしやすくなります。
中性のときの H+ の濃度は 10-7 なので、それをこの式に代入してみましょう。
pH = -log1010-7 = -(-7) = 7
中性を pH で表わすと 7 という数値が出てきます。
このように、pH を用いると 10 の○乗と書く必要がなく、見やすい数値になります。
酸性の場合、H+ の濃度は 10-7 より大きいので、たとえば 10-4 だとすると、
pH = -log1010-4 = -(-4) = 4
同じようにアルカリ性の場合、H+ の濃度は 10-7 より小さいので、たとえば 10-10 だとすると、
pH = -log1010-10 = -(-10) = 10
pH で表わした場合、次のような場合分けができます。
pH < 7 酸性
pH = 7 中性
pH > 7 アルカリ性
10 の○乗で表わすより直感的で、よっぽどわかりやすいです。
ただし内容をわかっておくことはとても大事なので、pH の p は -log、H は H+ の濃度を表わすものとして覚えておきましょう。
以下、ちょっとした応用編です。
前回、水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度の掛け算が 10-14 だと紹介しました。
(H+ の濃度)×(OH- の濃度)= 10-14
この両辺に対数とマイナスを付けてみましょう。
-log10[(H+ の濃度)×(OH- の濃度)]= -log1010-14
左辺は対数の足し算に、右辺は 14 になるので、式を整理します。
-log10(H+ の濃度)-log10(OH- の濃度)= 14
pH - log10(OH- の濃度)= 14
pH = 14 + log10(OH- の濃度)
この関係を使うと、たとえば OH- の濃度が 10-3 のときの pH をさっと計算することができます。
pH = 14 + log1010-3 = 14 - 3 = 11
どうでしょう、わりと簡単だと思いませんか?