前回、レモン電池は一方の金属板が陽イオンとなってレモン中に溶け出すことによって余った電子が導線を移動して、もう一方の金属板に到達することで電池として機能している、という話をしました。
今回のレモン電池では亜鉛板と銅板を使いました。
金属の種類によってレモンへの溶け出しやすさ、つまりイオンへのなりやすさが違います。
これをイオン化傾向と言います。
電池は基本的に2種類の金属板を使いますが、これら2種類を比べてイオン化傾向が大きい金属のほうが液体中へ溶け出します。
亜鉛板と銅板の場合、亜鉛のほうがイオン化傾向が大きいので亜鉛がレモン中に溶け出しています。
亜鉛が陽イオンとなって溶けて、亜鉛板に残された電子は導線を移動して銅板にたどりつきます。
この動きを例えると、すべり台の上が亜鉛板、下が銅板になっていて、すべり台の上で発生したボールがすべり台の下に向かって転がっていくようなものです。
すべり台の途中には水車みたいなものがあって、ボールが通るたびにそれが回転することで豆電球を点けたり、オルゴールを鳴らしたりする仕事を生み出していると考えることができます。
銅板にたどりついた電子はそこで消費されるので、たまりっぱなしにはなりません。
一般的には溶液中の金属が析出することで電子が消費されますが、レモン電池は水素イオンが電子を消費して水素となって発生します。
ところでボタン電池を使ってメロディーカードを鳴らすと、電池のプラスとマイナスの向きで音が鳴ったり鳴らなかったりします。
音が鳴ったときのプラスとマイナスの向きを覚えておいてレモン電池の実験を行ったとき、亜鉛板と銅板のどちらがボタン電池のプラス側でしたか?
きっと銅板だったはず。
したがってレモン電池の銅板がプラスで、亜鉛板がマイナスです。
ここでふと気付くことがありませんか。
電流はプラスからマイナスへ流れると学校で教わったと思うのですが、実際に電気を運んでいる電子はマイナス(亜鉛板)からプラス(銅板)へ移動しています。
電子が流れる向きと電流が流れる向きが逆になっています。
これについては、電子のことが詳しくわかる前に電流の研究をしていた人が、電流はプラスからマイナスへ流れると決めたことが原因のようです。
いかがでしたか?
これまでの話で、電気が流れるという現象についてイメージできるようになっていれば幸いです。