いよいよペットボトルがへこんだ理由の説明です。ここでは簡単に、気温は \(\small 25\)\(℃\)、お湯の温度は \(\small 80\)\(℃\) だったとして話を進めます。
ペットボトルにお湯を入れて捨てたあとにフタを閉めた瞬間は、ペットボトルの外側は \(\small 25\)\(℃\)、内側は \(\small 80\)\(℃\) になっています。この状態では外から中へ押す力と中から外へ押す力は同じでペットボトルはへこみません。
ではペットボトルをしばらく放っておくとどうなるでしょうか?ペットボトルの内側の温度はだんだん下がり、最後は気温と同じ \(\small 25\)\(℃\) になるはずです。
\(\small 80\)\(℃\) から \(\small 25\)\(℃\) へ。そうすると「温度が低い」=「分子の動きが遅い」と考えてよいので、ペットボトルの中の分子は動きが遅くなってきます。そして前に説明したように、圧力は分子が壁にぶつかったときにはたらく力なので、分子の動きが遅くなるほどはたらく力は弱くなってしまいます。
それに対して、ペットボトルの外側は温度が変わらないので特に変化はありません。
これでわかりましたね!
お湯を捨ててフタを閉めた直後はペットボトルの中の分子が \(\small 80\)\(℃\) という温度の下で動き回ることで外から中に押してくる力に対抗していました。しかし温度が下がってくると、分子の動きが遅くなって外からの力に対抗できなくなってしまい、ペットボトルは外から押されてへこんでしまったのです。
では外からの力が強いのであればどこまでもペットボトルはへこむのかというと、そんなことはありません。ペットボトルがへこむと内側の体積が小さくなり、分子はより少ない移動距離で壁にぶつかるため、ぶつかる回数が増えることで再び外からの力に対抗できるようになると考えればよいです。
ちなみに、フタを開けたままだとペットボトルはへこみません。なぜなら、温度が下がってペットボトルの中の力が弱くなりそうなときは、ペットボトルの外から中に新たに分子が入ってきて、速さではなく数で対抗できるからです。
へこんだペットボトルのフタを開けたら元に戻るのも同じ考え方です。
こんな感じでペットボトルの実験はおしまいです。実験というにはあまりに簡単なものですけど、いろいろ考えてみると楽しいものです。
また身近なものでできる実験を考えてみます。