幾何異性体とは二重結合をもつ化合物のシス-トランス異性体のことです。
問題に与えられている化合物は 3 つの二重結合を持っているので、それぞれ考えてみましょう。
左側の二重結合は同じメチル基 CH3– を持っているので、シス-トランス異性体はありません。
むりやり 2 つの構造を描くと図1のとおりですが、分子ごとひっくり返すと同じ構造になることがわかります。
参考資料 図1
幾何異性体を含む立体異性体は回転させても重ならない分子のことをいうので、回転させて重なる分子は幾何異性体とはなりません。
図2のように、真ん中の二重結合は回転させても重ならない幾何異性を持っています。
参考資料 図2
同様に、右側の二重結合も幾何異性を持っています。
参考資料 図3
したがって、真ん中の二重結合で 2 通り、右側の二重結合で 2 通りの幾何異性体があるので、分子全体で 2×2=4 通りの幾何異性体があります。
この考え方でいくと、もし左側の二重結合でも幾何異性を持っていた場合、分子全体では 2×2×2=8 通りの幾何異性体があります。