物理化学

物理化学が敬遠される理由

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

私は理学部化学科の出身です。

学生の頃は無機化学や有機化学、生物化学、分析化学といろいろな化学を勉強しました。

高校ではすべて化学という括りだったので、一口に化学と言ってもいろいろな分野があるんだなぁと感心していました。

それくらいの認識で化学科に進んだわけですが…

そんな様々な化学の中でどうも人気が無かったのが物理化学でした。

どの化学であってもそれぞれに難しいところはありますが、同級生の中でも物理化学を苦手とする人は多かったです。

私の周りだけではなく、世間一般でもそのような傾向があるようです。

その原因はどこにあるのでしょうか。

出てくる数式が多い

一番大きな理由と思えるのは、数式がたくさん出てくるところです。

物理化学の教科書を開くと、数学の教科書かと思うくらい至るところに数式が出てきます。

数式を使って実験データを解析し、それを基に現象を理解することが物理化学の醍醐味と言えるので、数式が多いのは致し方ないところです。

しかし数学が苦手な人にとっては、数式がたくさん出てくるだけで拒絶反応が現れるのも無理はありません。

私自身はもともと高校の頃から数学は好きで、計算自体は苦にしなかったこともあって、それほど物理化学に苦手意識を持つことはありませんでした。

もちろん物理化学の計算ができることと、その内容を理解することはまた別の話です。

それでも授業で次々と出てくる数式に対してさほど抵抗が無かったことは、物理化学を勉強していく上で大いに役立ちました。

イメージを持ちにくい

他の化学に比べて、物理化学は対象となるものがわかりにくいです。

有機化学や無機化学は主に新しい物質を作ることを目的としていて、その対象は実在する物質です。

生物化学はアミノ酸やタンパク質、細胞など、目に見えるサイズでないとはいえ、実際にあるものを対象としています。

分析化学といえば、中和滴定に代表されるように色の変化をデータとして追っていくようなイメージがあります。

細かく見ていけばいろいろとありますが、とりあえずはイメージできる何かがあります。

それでは物理化学といえば何をイメージするでしょうか。

正直なところ、なかなかこれといったものをイメージできません。

たとえば物理化学の柱の1つである熱力学は熱や仕事などのエネルギーを扱うわけで、他の科目に比べると何がどうなっているのかイメージしづらく、どうしてもわかりにくいです。

反応熱であれば温度変化で体感することもできますが、やっぱり直感的には理解しにくそうです。

教えることが難しそう

物理化学は学ぶ側からして難解ですが、教える側からしてもわかりやすく教えることは難しそうです。

問題はやはり数式がたくさん出てくるところでしょうか。

わかっている人にとっては数式を解くこともさることながら、その数式からどんなグラフが描けて、そこからどのような情報が得られるのか、そういったところまで読み取れるものです。

一方で数学が苦手だとその感覚がわからず、そしてそのうち数式を見るのも嫌になってくるわけです。

苦手意識を持たれたら最後、どれだけわかりやすく教えようとしても、きっと振り向いてもらえないことでしょう。

以上のような理由でわかりにくいイメージが強い物理化学をどうやったらわかりやすくできるのか。

このブログを通して考えてみたいと思います。