濃度

濃度-05|モル濃度 molarity

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前回までに、濃度計算の基本となるモル \(\small\text{mol}\) について見てきました。

今回から実際に、濃度を計算してみましょう。

濃度は意外と奥が深い

濃度の計算はできて当たり前みたいなところがありますがそれほど簡単でもなく、なかなか奥が深いです。

大切なことは、公式(のようなもの)を覚えることではなく、濃度の意味をイメージできることです。

濃度の単位を見て具体的にイメージできれば、公式を覚えていなくても計算できます。

さて、一口に濃度といってもたくさんの種類がありますし、専門分野や用いる場面によって使う濃度は変わってきます。

ここでは化学系を中心に、モル濃度、質量モル濃度、規定度、モル分率、\(\small\text{ppm}\) を見ていきましょう。

モル濃度は溶液に含まれている物質のモル数のこと

今回はモル濃度です。

容量モル濃度とも言います。

モル濃度の定義は、溶液 \(\small 1\,\text{L}\) 中に含まれている物質のモル数で、単位は \(\small\text{mol}\,\text{L}^{-1}\) です。

モル濃度はこのように計算します

たとえば、\(\small 5\,\text{g}\) の塩化ナトリウム \(\small\text{NaCl}\)(式量 \(\small 58.44\))を水に溶かして全体が \(\small 1\,\text{L}\) になるように溶液を作ったとします(\(\small\text{NaCl}\) のような物質は分子量ではなく式量と言いますが、モル数の計算方法は同じです)。

この溶液に含まれる \(\small\text{NaCl}\) のモル数は次のとおりです。

\(\small\color{blue}{\displaystyle\frac{5\,\text{g}}{58.44\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=0.086\,\text{mol}\cdots(1)}\)

したがって、作った溶液の濃度は \(\small 0.086\,\text{mol}\,\text{L}^{-1}\) です。

では、\(\small 1\,\text{g}\) の \(\small\text{NaCl}\) を水に溶かして全体が \(\small 500\,\text{mL}\) になるように溶液を作った場合はどうでしょうか。

この溶液に含まれる \(\small\text{NaCl}\) のモル数は次のとおりです。

\(\small\color{blue}{\displaystyle\frac{1\,\text{g}}{58.44\,\text{g}\,\text{mol}^{-1}}=0.017\,\text{mol}\cdots(2)}\)

したがって、作った溶液の濃度は \(\small 0.017\,\text{mol}\,\text{L}^{-1}\) です。。。とはなりません。

なぜなら、\(\small 0.017\,\text{mol}\) の \(\small\text{NaCl}\) は溶液 \(\small 500\,\text{mL}\) 中に含まれているからです。

モル濃度は溶液 \(\small 1\,\text{L}\)(\(\small =1,000\,\text{mL}\))中に含まれているモル数なので、上の値を2倍(\(\small =1,000\,\text{mL}/500\,\text{mL}\))する必要があります。

したがって、作った溶液の濃度は \(\small 0.034\,\text{mol}\,\text{L}^{-1}\) です。

モル濃度を求める公式

以上をまとめると、分子量(式量)\(\small M\) の物質 \(\small x\,\text{[g]}\) を含む \(\small y\,\text{[L]}\) の溶液のモル濃度 \(\small C\,\text{[mol}\,\text{L}^{-1}]\) は次式から計算されます。

\(\small\color{blue}{\displaystyle C=\frac{x}{M}\times\frac{1}{y}\cdots(3)}\)

\(\small(3)\,\)式に数値を入れると計算できますが、1つ注意することは \(\small y\) に入れる数値の単位です。

ここでは \(\small y\) の単位を \(\small\text{L}\) としているので、たとえば溶液が \(\small 200\,\text{mL}\) だったら \(\small 0.2\,\text{L}\) にしてから式に入れてください。

もし \(\small y\) の単位として \(\small\text{mL}\) を使いたければ、\(\small(3)\,\)式の \(\small 1/y\) を \(\small 1,000/y\) に変えて、たとえば溶液が \(\small 0.2\,\text{L}\) であれば \(\small 200\,\text{mL}\) を \(\small y\) に入れます。

公式を覚えるより濃度の意味を理解しましょう

単位は重要なので、何も考えずに式を使うと間違えてしまいます。

そういう意味でも最初に書いたように、濃度の意味をしっかり理解しておくことが重要です。